松岡ワールド炸裂!

最近、いろいろバタバタしてるので読めなかった千里眼シリーズ。今日は外出の予定をキャンセルして読みふけりました。
めちゃくちゃ疲れがたまってるときは、千里眼でスカッとするに限る!


そんで、「青い瞳とニュアージュ(完全版)」(まあ、正確には千里眼シリーズじゃないけど)「ファントム・クオーター」「水晶体」と、一冊飛ばして「教室」を一気読み!
新シリーズになってから、筆のテンポが良くなった気がするのは……気のせいじゃないね。きっと。

千里眼の教室 (角川文庫)

千里眼の教室 (角川文庫)

この4冊の中で、一番面白かったのは「千里眼の教室」です。
ある地方の高校を舞台にした学園もの。千里眼には珍しいですね。
高校内の爆発事件をきっかけに、生徒会を中心とする高校生たちが日本に対して独立を宣言。
その動機には、世界史未履修問題や大人社会への疑問があった。
外貨(日本円)獲得を画策し、知的な手段で自治と自活を確立していく彼ら。
臨床心理士岬美由紀はこの事態にどう対処し、日本政府はどう動くのか!?


いやあ、なんというのか。教育業界の端っこで働く身として、すごく勉強になりました。教育をする側がしゃんとしていない状態を、子どもがどう見ているのか。本当に高校生が楽しめる勉強法とは何か。
また、最近の千里眼シリーズにはちょっとしたトリビアがちりばめてあるのが面白さのひとつですが。限られた物資の中でどうやって生活を作っていくのかも読みどころ。切れた電球の復活法なんて、いわれてみれば目から鱗。サバイバルですよ。


世界史や情報の授業の未履修問題は、大学の現場にも実際、響いているみたいです。うちの職場でもちょっと対応があったりしましたし。
受験に必要な科目に注力するのって難関を突破するのが目的で勉強にはならないと思う。
私は特に、勉強は好きだったけど受験勉強は大嫌いだった高校時代を送ったので、本当にそう思います。大学の勉強は4年間本当に楽しかったから、余計にそう思う。どんなレポートも課題も楽しんでやっていましたから。きつさも楽しめた。


受験対策はつらかった。合宿とかをしてまで楽しくない勉強をしなくちゃいけないのは苦痛でしかたがなかった。現役時代,現代文と日本史と生物とコンピューター数学は好きでしたが、受験型英語は大嫌いで。試験の得点は現代文が支えていました。落差の激しさに、一浪した予備校では所属するクラスがなくて、事務の方に迷惑をかけまくった記憶があります。ここまで英語と国語で成績の差がある生徒は前例がなかったとかで。
でも、大学入学後の英語の授業では、この苦労はなんだったんだーというくらい楽しんでいました。だからこそ、大学受験の英語の意味のなさが身にしみています。実務じゃあんまり役に立たないんだよね、受験用の英語って。同じようにアルファベッドで苦労するなら、TOEICとかの方がよっぽど役に立つかと。


まあ、ちょっとした高校生時代をもう一度楽しめた一冊です。この本にはあの未履修問題のほか,所沢高校問題とかも影響していそうな気がしました。「都立松濤独立国」っていう小説をちょっと思い出したかな。高校時代に好きだった話です。


社会派エンタメとして、本当に松岡圭祐作品は面白い!