千里眼クラシックシリーズは絶好調らしい。

某検定試験がいちおうは終わったので(本当は終わってないけど期限が……)うれしいことは、千里眼シリーズを気ままに読めることです。
さて、「千里眼の死角」は世界各地で起こる人体発火という怪奇現象の原因と顛末を、「ヘーメラーの千里眼」は麻薬問題・近くて遠いお隣の国問題(?)などとともに、現実的なデータや事象をもとに岬美由紀の過去を掘り下げています。
この2作品が前後しているというのは非常に対照的で面白いものですね。一見オカルトのような荒唐無稽さとリアリティが同じ作品世界のなかでともに描くことができる。千里眼ワールドの真骨頂。
ヒトが突然火だるまになるなんて、オカルトの世界の話だと思っていましたが、読み進めていくうちに突飛ながらありうるかも(?)と説得されてしまいました。科学がもっともっと進めば、こんなスーパーコンピューターやとんでもない武器が出来てしまうのかもしれない。スリル満点のストーリーをおいかけ、楽しみながらも、武器は何のためにあるのか、平和はどうしたら実現できるのか、誰も血を流さない世界を実現するためにはどうしたらいいのか……そういった問題を考えてしまいます。
「ヘーメラーの千里眼」では、岬美由紀の過去(高校時代のエピソード、防衛大学校へ入学したいきさつ、女子学生という意味だけではなく、実力ある防衛大学生として頭角を現していくさま、恋愛の顛末……)を絡めつつ、冒頭の自衛隊機による子ども誤射事件の意外な真相、そして麻薬問題のある側面を描いています。この本から千里眼シリーズに入ったヒトも多いのだとか。社会情勢などは現実にかなり即して取材されていてリアリティがあります。また、終盤の空での決戦の様子は、活字を追うだけでハラハラドキドキ、下手なCG映画よりよっぽどスリルがあって面白いです。
戦闘機のパイロットは国の駒ではなく人間。自分に縁のない世界だと思っていましたが、この空の下で防衛のために汗を流す人たちがいることを知り、また、戦争をし続ける国々に思いを馳せてしまいました。
……ってこうやって書いていくと、戦争小説のようですね……。千里眼はれっきとしたサイコ小説。現・臨床心理士、元・航空自衛官の岬美由紀さんが世界をまたにかけて大活躍する冒険小説でもあります。ですから、お話も心理学的なポイントから進んでいくところも多いのですが……私はアクションシーンの面白さに千里眼の魅力を感じているようです。


そういえば、千里眼の本編・最新刊は来月下旬、DVD付きの単行本『千里眼 キネシクス・アイ』として発売されるそうです。

千里眼 キネシクス・アイ

千里眼 キネシクス・アイ

↑まだ、Amazon.co.jpでは予約ページが出来ていないようですが、一応、いつかできるだろうので。著者の松岡圭祐氏のサイトでは詳しく紹介されています。
こちらも楽しみです。撮り下ろしのDVDが付属しても価格が3000円行かない(特別価格\2,400(税抜))のはかなりすごい。オリジナルビデオアニメが付録になっている漫画とかは今まであったのですが、大衆文学の世界ではかなり珍しいのかも……。しかも、シナリオ、メガホン、編集は著者の松岡氏自らがおこなっています。どんなデキなのか興味津々ですね。