久しぶりにコバルト文庫を買いましたよ。
新刊、新刊、新刊!!
- 作者: 氷室冴子,今市子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/08/31
- メディア: 文庫
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たまたま、昨日の夜に、漫画家:山内直美さん主宰のブログ『ジャパネスク便り』を何となく拝見していて知ったのですが……偶然ってあるものです。
先日までコミック版が雑誌連載されて(今月、白泉社から単行本刊行*1)いた短編『月の輝く夜に』の原作版と、復刊の『ざ・ちぇんじ!』を上下巻全部、あと二篇(『少女小説家を殺せ!』『クララ白書 番外編 お姉さまたちの日々』)は文庫初収録作品らしいです。
なので、ハイパーボリューム! ずしっと来ました656ページ!!
イラストは今市子さん。たしか以前、雑誌コバルトに『月の…』リメイク版が掲載されたときも担当なさっていたような。もしかしたら、そのときの絵なのかな。本文にはあまりイラストはありませんし。
あと、あとがきの再録もないようです。カバーにコメントは少しありましたが。でも、いいんです。氷室冴子作品が復刊されるだけでラッキー! あの、桃色と黒字の背タイトルが、日の落ちかけた夕方の書店で見つかったときは、何だかじーんとしてしまいました。それこそ、16歳の頃に還ったようで。
……そういえば、最近、コバルト文庫を扱っている書店が減ったかも。ちょっと見かけなくなって、電撃文庫に押されてるような。最初に入った結構大きな書店にコバルト文庫が全く置いてなくて……。
閑話休題。
『ざ・ちぇんじ!』は、高校時代に漫画版ともども何回読み返したか分からない作品です。平安時代を舞台にした性別入れ替わりコメディが日本に古典作品として元々あった、というのもユニークですが、それから着想した氷室冴子版はさらにテンポ良く楽しい! 意外にも、かの『なんて素敵にジャパネスク』は、実は本作の習作だったそうです(旧版のあとがきで読んだ覚えが)。ともかく一連の作品で、全国何人の学生を古文好きにし、センター試験の成績向上に寄与したことか!! 私自身、脇息とか春宮とか狩衣とか物忌とか、コレで理解したものです。十二単が12枚の重ね着では無いことも(そりゃ、夏にそれやったら倒れますって)。
和歌のやり取りという習慣の趣深さ、雅さに憧れたっけ……。
それに、今ではライトノベルや少女漫画のいちジャンルとして平安時代モノは定着していますが、その先駆けだったと思います。これだけの成功例があってこそ。
時代小説はいつまでも読めます。この本、大切にしよう……。
さて、本日も晴天なり。今宵は輝夜(かぐや)となりましょう。
この週末は、懐かしい世界で平安読書です。
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同日 22時30分 追記
小説とコミックス版『月の輝く夜に』を読了。
本当にどうにもならず、ただ想って泣くしかない恋って、現実にもあるものだ。
平安時代は今みたいにネオンもないわけで、月や星は本当に綺羅綺羅しくあっただろう。そして、その輝きを眺めれば、ひと恋しくもなるし、想い出にひたりたくもなっただろう。
それでもひとは生きてゆく。
生きてゆくって、なんて重いものなんだろうな。自分自身、このままでいいのかふと考えてしまった。結論は、未だにないのだけれど。それで15年経過してしまったな……。相手が相手だし、本当にどうにもならないのだけれどな。
蛇足だが、コミックス版の誤植発見。98ページ、有実から贈り物があった期間は、当初「三日に一度」ではなく「三月に一度」だった(小説版参照)。そうでないと話が通らないし……。
さて、これから久しぶりに『ざ・ちぇんじ!』を読むのだけれど。
コミック版は、中高時代に仲が良かった友人宅でいつも読破していた。彼女の家にコミックスがそろえてあって、遊びにいくとまずはそれを読んでから遊ぶということをしていたっけ。あんまり何度も読むので、自分用に買えとかいわれたっけな……。自宅じゃなくて友人宅で読むから面白いっていうのもあったんだけれど。彼女の家のゆったりとした空気と、『ざ・ちぇんじ!』の想い出は一体のものとしてある。小説版は自分で持っていたんだけれどね。
一番印象的だったシーンは、やっぱり宰相中将が三の姫を助ける「俺の妻だ!」のシーン。もちろん、小説版でもすばらしかったけれど、漫画ならではのインパクトがあった。あのシーンは本当に何度読んでも熱くなったものだ。単なる浮気中将が、女性のためにあそこまで強くなれたという成長ぶりがうれしかったものだ。もう、何年も漫画版を読んでいないけれど、強烈な印象で今でも覚えている訳で。『ざ・ちぇんじ!』漫画版のベストショットはあのコマだろうな。
……『ざ・ちぇんじ!』のコミックス版も、いまでは文庫で手に入るみたいだし、この機会に買っちゃおうかな……。
- 作者: 山内直実
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1999/06/01
- メディア: 文庫
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- 作者: 山内直実
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1999/09/01
- メディア: 文庫
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こんな世知辛い時代だからこそ、それを信じたいものだ。
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