- 作者: 桑原水菜,藤井咲耶
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/12/26
- メディア: 文庫
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とりあえず、話の流れがかなり頭の中から飛んでいたので、前巻から読み直して……夜中に電球1個で読むと、雰囲気がかなりそれっぽくなって。
この作品には夜が本当に良く似合います。
前巻から「メデュウサ」試演公演が始まっていたんでしたっけ。そんなこともすっ飛んでいました。先攻はケイ。あとからワタル。……おお、そうだったそうだった。そして、揺れ動く舞台の模様も、ラストで榛原さんが持病の発作で倒れてしまったことも、ようやく思い出しました。
さて、終幕となる本巻ですが。
ほんとうに舞台を目の前にしているようでした。バックステージものの舞台を。
ずっと惹き付けて読まされる感じでしたね。定価580円のS席なんて、すばらしくお財布に優しい(^^;)。
本当の演劇のように人が現実に動いているワケではありませんが、その代わりに人の心の動きが直に伝わってきました。
真剣に創造に向き合ったときの、人と人の、自分と自分のぶつかり合いを、こんなにも描いて……。
そして、登場人物全員がそれぞれなりに見いだした、ある境地の輝きのまぶしさといったら!
最後のワタルの本番とケイの本番の間のインターミッション的なシーンでは、自分もお手洗いに行ったり、うがいしたり飲み物を飲んで来たりして。本当に、その舞台に立ち会った気分でした。なんか、やけに喉が渇いて仕方がなかったです。
この試演ではある一つの結論を出して、なんとか無事(?)に終わりました。
そして、それぞれの人物が、それぞれ次のステップに進むことができたようです。
9年間、ずっと頭の片隅にあった小説が、きちんとカーテンコールを迎えられて、ほんとうにほっとしています。よかった!*1
心がズキズキする小説に出逢えて、本当に幸せ者だなあ、私は。本当に、終わることができてよかったですね。最終巻刊行、おつかれさまでした。
*1:なかなか完結しない某演劇漫画にヤキモキしているものですから!! こちらも連載再開中&新刊が予定されていて何よりですが……。