赤紙について調べる。

先日、この質問で教えていただいた書籍「赤紙 男たちはこうして戦場へ送られた」を図書館で借りてきました。(はじめてISBNコードを貼ってみます。うまくいくかな?)
http://www.hatena.ne.jp/1089969654
赤紙―男たちはこうして戦場へ送られた


見ての通り、ものすごい装丁です。赤紙(臨時召集令状)を全面に使ったインパクトがあるデザイン。
まだ1章を読んだ所ですが、内容が濃いので、休憩がてら書いています。


戦後、戦争に関する書類は証拠隠滅のために軍の命令で、役場で消却処分されましたが、ある村の一人の戸籍係兼兵事係の方は、重要な書類を記録として残すために、こっそりと隠して残していました。この本では、この重要な生き証拠から始まり、召集の決定や、赤紙がどのようにして各家庭に届けられたか、そして、戦地に赴いた村人はどうなって行ったのか、戦死した時はどのような報告がなされたのか、など、赤紙を通して日本の戦争期の社会状況を伺えます。


召集の仕組みなど、読めば読むほど、なんというか……、戦争に国民を駆り立てて行った当時の状況に憤りを感じます。筆自体は淡々と、当時をそのままに綴り続けていて、その冷静さがかえって……。
徴兵検査を受けて合格した二十歳の男子は、2年間徴兵されますが、復員後も赤紙によって召集されるようになっていました。(在郷軍人)いつ、戦争に行ってもいいように、時々呼び出されて訓示会のようなもの(簡閲点呼)があったりしたようですが、その時には奉公袋という袋の中身を点検されました。
この袋の中身を43ページから引用しますが。

>軍隊手帳、補充兵証書、補充兵必携、本人の遺髪、爪袋、印鑑、郵便貯金通帳、遺言書封入など
在郷軍人とされた男子国民は、常時自宅の奉公袋に戦死した時の遺品を準備しており、

もう、とにかく、全てが戦争のためにあった時代としかいいようがありません。
読み終わったらまた感想を書きたいと思いますが、国のため、村のためと信じて熱心に仕事をしていたというこの戸籍係兼兵事係の方が、戦後のどさくさの軍令に背いてそっと書類を保管したというこの事情。何のためにみんな死んで行ったのか、自分が勧誘した志願兵や、自分が渡してきた赤紙で行った村人たちの記録が、こんな冷たい命令一本ですべて消されなくてはならないという憤り。このときにはじめて、冷静に村人たちの死を見つめるきっかけを得たようです。仕事をしている時は、そんなに冷静には見つめる余裕はなかったと。


素朴な愛国心を軍は利用し、またそれが広まるように巧みな広報戦略を実行しました。この村の最年少志願兵は14歳。今でいうなら中学2年生です。親を説き伏せて海軍に入った彼ら。(召集兵は陸軍、志願兵は海軍が中心)特攻で亡くなられた方が、この村にもいらっしゃった。なぜ?


ともあれ、赤紙がどのようにして発行されていったのか、じっくりとたどって行ったドキュメントです。後半部分をこれから読みます。