地球の中の宇宙。私達の中の宇宙。

東京湾も暑いなあ。夏休みに入ったので、大学時代の友人と、日本科学未来館(以下、略称MeSciからミーサイと表記)を見学してきました。
ホームページはこちら。
http://www.miraikan.jst.go.jp/


ついでに、ぐるっとパスを購入。企画に参加している東京都内の美術館、博物館等施設の常設展を2000円で見られるチケット集です。これでミーサイの常設展もOK。
http://www.rekibun.or.jp/what/grutt_pass/grutt_pass.html


さて、館内案内などは先ほどのwebサイトに譲るとして、いくつかの印象を書き記しておきます。


1)インターネットの仕組み
インターネットの仕組みを、模式的に白と黒の玉を16個で1文字(2バイト文字)の羅列で送り出すことで、説明する器械がありました。文章で書くと難しそうですが、ネットユーザーならこれは是非一度、体験してみるべしです。パケットの仕組みを、これほど簡単に体感できるとは! ちなみに、アイデアは慶応大SFC村井純先生らしいです。納得。


2)デジタルミュージアム
それから、東京大学総合研究博物館の協力で、デジタルミュージアムをやっています。
これの本家のサイトはこちら。
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/


学生時代、大学の学芸員課程のレポートを書きに、ここを訪れたことがあったのですが、やっていることは本当にすごいです。ミーサイの展示では、入り口で配付されるICカードにニックネームやメールアドレスを登録。そのカードを使って、各種展示(画面の中のバーチャルミュージアムで3Dの土器、拡大図や関連資料などを見たり、TRONを使って出題される漢字に関するクイズに答えたり)を仮想見学して、最後にカードを返却。カードには、各自がどのように展示を見たか、など、ログが登録されます。自分の博物館での学習に役立てたりできますね。


わたしが学生時代に東大で見た時は、同じようなカードで見たログをとり、そのカードと一緒に渡されるパスワードを使って総合研究博物館サイトに行くと、自分が「見た」土器の一覧表が表示されるようになっていました。どんな展示だったか、じっくり見直す時に役立つよう、想定しているようです。


3)宇宙の果て? はてな
館内にある、すばる望遠鏡の模型のところで、ニュートリノの研究者のビデオが見られました。お題は、「宇宙の果てはあるのか?」これ、こないだはてなでも話題になりましたね。
http://www.hatena.ne.jp/1087523980
最先端の科学でも、はっきりとしたことは分かっていないようですが、そもそも宇宙の概念は、中国のある古い書物(題名失念)に出てくるのだとか。そこでは、「宇」とは「時間」、「宙」とは「空間」のことであると説明されていたのだそうです。つまり「宇宙」=「時空」の意味。その果てとはどこなのか。


人間が知っている世界の端が、宇宙の現在探し出せる果てといえそうです。その先は、また探せば宇宙は広がる。本格的に科学的な天文学が始まってまだ400年程度しかたっていないから、人間が知っている、人間にとっての宇宙は、じつはそれほど広いわけでもない。いいかえると、自分達が知っている範囲が取りあえずの宇宙であり、研究が進めば宇宙の体積は増えるともいえる。
人間は、地球の中、また、個々自分自身の中にも、知らない世界を持っています。そこもまた、一つの宇宙といえる。宇宙は、不思議と未知は、まだまだそこいら辺に沢山あるのですね。
このようなお話でした。遠くを見上げて宇宙を観測するすばる望遠鏡。しかし、自分自身にとってのすばる望遠鏡は、一人一人の手にあるのでしょう。
はてな? と思い、探求することは、自分自身の知識や知恵の「果て」の先にあるものに、なんとか「名」を付けようとする作業なのかもしれませんね。


4)脳のプラスティネーション
それから、人体、生物、DNAに関するコーナー。色々見てきたのですが、一番のインパクトは、脳のプラスティネーション標本でした。
これは、解剖した臓器などを、ある手法で樹脂に漬け、固めてスライスした生物標本で、腐ったり傷んだりすることなく、手軽に観察できるため、解剖学の世界で良く利用されるようになりつつある標本作成技術ですが……作っているところは結構グロいかも?
脳をスライスして、MRIを沢山撮影するように見る。プラスティネーションである分、生々しさは無いものの、やはりちょっとアレでした。でも、このしわが大切。頭脳は大切。


5)ASIMOが歩く!
http://www.honda.co.jp/ASIMO/
13:00-13:10まで、Geo-Cosmos(ミーサイのシンボル。刻々と更新される地球の画面式モデル)の下の広場で、本田技研の歩くロボット「ASIMO」のデモがありました。実際に見るのは初めて。写真がうまく撮れていなかったのですが、印象は「リアル鉄腕アトム」でした。きっと、アトムが実現したら、あのようにしなやかに歩くに違いない。ぜひとも背中に背負った箱からジェット噴射して空を飛んで欲しい、と思いました。(注:ASIMOは空はまだ飛べません。いつか飛びたい、と彼が願い、あるいは飛ばせたいとHONDAの開発スタッフが思っているかは知りません)


6)電気自動車。
クリーンな車として注目される電気自動車。最近の開発はとても進んでいて、速度、電池の限界、車内居住性など、現在の自動車に負けないに近いものが出来つつあるようです。そのビデオを見たのですが、ひとつひっかかったこと。コストや価格を度外視しても、多分、電気自動車が今の車にとって変わることは無いと思ったのが、電池の原料です。鉛式蓄電池から、リチウムイオンに切り替えているらしいのですが、この稀少金属の地球の埋蔵量は、とてもじゃないけど地球全土の車から取って代わらせてくれる程の量はないんじゃないかと疑問に思いました。


7)光ファイバー
せっかくだし、好きな繊維だから企画展も見てきました。「ファイバーテクノロジーから未来を考える 特別企画展 「疾走するファイバー」展」です。
展示室内を区切るのは、光ファイバーを床面から天井まで何本も張って作った壁。照明が当たると、それだけで輝きがきれいでした。
アテネオリンピックが近いですが、日本競泳陣が使ってきた歴代の水着や、長島ジャパンのユニフォーム、野球のボールなどもありました。それから、ケナフで作った車、人工臓器、などなど、こんなものも繊維からできていると、驚くようなものが。太くて強い繊維、細くて繊細な繊維などなど、なかなか興味深かったです。


8)ミュージアムショップ。
やはり、科学系博物館の楽しみは、ミュージアムショップ。今回のお買い上げはこちら。
日本科学未来館お土産写真


※画像が見られない場合はこちらから。

  1. 上から。左端=駒形克己の絵本「空が青いと海も青い」714円。
    • 葉が緑色なのは? 夕焼けが赤いのは? など、身近な色の疑問に答える。一枚の紙を切り込んで折って作った装丁で、それが気に入って購入。(著作権問題に配慮して、展開写真は省略)閉店してしまったが、ABCなんかにありそうな一冊。
    • 発行所URL=http://www.one-stroke.co.jp
  2. 中2つ。宇宙食。左から、ライスケーキ(水で戻す、きな粉餅)と、ミックスフルーツ。各525円。
  3. 一番右。ASIMOの1/8アクションフィギュア。1575円。本物のアトムっぽさにホレて購入。
  4. 下左。ミーサイオリジナルグッズのDNAビーズアクセサリー。350円。
    • ビーズアクセサリーは流行っているが、くみ上げるとDNAの模型になるアクセサリーも珍しい。完成見本が一つ、材料が1セット分入っている。
  5. 下右。国際宇宙ステーションペーパークラフト。1575円。休み中に完成させて、天井に吊るす予定。



久しぶりな友人に会い、それなりにじっくり見てきましたが、あそこは1日いてもいいような気がします。イベントも色々やっているし。
たしか、毎年正月の最初の営業日には、毛利さんが入り口で挨拶してくれるってウワサを聞いています。行こうかなあ???? ともあれ、この博物館は子どもと一般の方のために、日本の最先端の知性がよってたかって作っていますから、好奇心旺盛なお子さんがいらっしゃる方は是非、つれていってあげてほしいです。私が子どもの頃だったら、夢中になって見ていたと思います。模型、標本、実験の山、まるでびっくり箱であり、宝石箱ですから。行って良かったと思います。