華氏911を見てきました。


詳しくは夜にかきます。
ケータイから一言感想!
戦争は、血を流さない者にとってはビジネスである。血を流す者には、意図せぬ悲劇であることは、言うまでもないが。


続きをiMacで書きますね。
この映画を見る、20歳以下の方には、先んじて読む機会があると良いなあ、というマンガがあります。
紫堂恭子先生の「エンジェリック・ゲーム」(小学館)という全3巻、1993年から1994年の作品です。


しかし、本作は、出版社の都合など、もろもろあり、連載が中止され、執筆途上で断念されています。その辺りの事情は、作者様の公式サイトで読むことが出来ます。(リンクは何となく張れないので……googleで作者名で一発ですから^^;)なお、続きが出されることはあり得ません。しかし、それでも、読む価値のあるストーリーだと思っています。私は古本で偶然手に入れました。今は絶版で、国会図書館や古本などでしか読むことが出来ませんが、できればと思います。
キーワード「紫堂恭子」から飛んで、今みた所、amazonに数件の古書出品がある模様です。


ストーリーを簡単に言うと、ニューヨークに住んでいる、ある富豪のお嬢様(ジェイミー、大学生、主人公)と、父の右腕的存在で、婚約者のリチャード、そして、なぜかジェイミーの周りに現れる腐れ縁、軍隊経験アリの謎男フレディの織り成す人間模様。時代と場所は湾岸戦争後のアメリカ。


ジェイミーのハイスクール卒業から話は始まりますが、あることで、彼女は父の仕事が軍需産業の利権による、「死の商人」としてのモノでもあることを知ってしまいます。そして、そのことを否認する父やリチャードから真実を引き出すために、彼女は軍需産業のことを新聞などから調べ上げ、こういったことが「ビジネス」であることを知るのです。戦争の、流血による悲劇性、黄色いリボンを掲げる祈りの対象性、ビジネスとして動き……覚悟を決めた彼女は、父の産業の実態を暴く鍵を知る人物を追って、カンボジアへ……。自分が犯罪者の家族となる覚悟を背負って。


戦争が倫理や人間的主張から始まるのではなく、利権から始まるのだという認識を私に教えてくれた、最初にして無二の作品でした。ムーア監督の「華氏911」に、出会うまでは。


さて、その「華氏911」ですが、これはあの疑惑の大統領選挙からはじまり、アラブとアメリカの関係を暴きだす、見事なドキュメンタリー映画でした。
CNNその他局の報道や、ムーア監督が独自に取材した映像をつかって、ナレーションで進んで行くこの作品は、平和って? というはてなのあるすべての人が見るべきだと思いました。

911事件の情報、飛行機を使ってのテロをアメリカ側は察知していたのではないか、という報道は日本でもありましたね。しかし、それを止める手立てをまじめに講じなかった。
なぜなのか? そしてどうしてイラクを舞台に始まってしまったのか。


詳しいことは混み入り過ぎていて簡単にダイアリーすることが難しいですが、(知りたい方は映画館へどうぞ)海兵隊に若者をスカウトする海兵隊員の仕事を取材したり、仲間うちでちょっとだけ大統領批判をしたただの人の所にFBIが来たのを話を聞きに行ったりと、説得力がある映像構成で、(それも、息をもつかせない)いかにあの国が歪んでいるか、その断片を見せつけられた思いです。そして、イラクを舞台に始まってしまったのは、石油が欲しかったからなのではないかとの思いを強くしました。そのいくつもの証拠は、映像で見せてくれます。多くの証言があります。


それから、タイトルに911と銘打っているにもかかわらず、あの、追突した飛行機や、ビルが崩れる映像を使わなかったのがすごかった。(たぶん、普通なら使うと思う)遺族にご配慮があったのか、理由は分かりませんが、崩れたビルをみあげ、むせび泣く人々や、落ちてくるたくさんの書類と逃げ惑う人々は写りましたが。
事件そのものよりも、人間から描きたかったのではないかと、勝手な推測をしています。


平和はどうしたらくるか。答えは簡単で、戦争をしたいと思わなければ良い。チカラを行使せず、話し合いでケリを付ければ良いと思っています。ペンは剣よりも強しと言いますが、映像は兵器よりも強し、を信じたいと思います。


だって、アレだけの、普通のひとが泣いているんですよ。映画館で私も。そして、多くのアメリカの兵士たちが「オレたちは、何をやっているんだ?」「大統領は、どうしてオレたちをここへやったんだ?」(みたいな言葉を彼らは現に言っていました)と、無力な疑問を告げているのです。貧しさから軍隊に「就職」する者がいることは、「エンジェリック・ゲーム」でも「華氏911」でも指摘されていることですが、その、就職先として死の職場を選んだ人たちが、「仕事」に絶望すらしている。最悪の「上司」は誰ですか?


ムーア監督、そしてスタッフの皆さん、本当にお疲れさまといいたいです。
"Good Job!"の言葉を。

ムーア監督はアカデミー賞を辞退して、華氏911のテレビ放映を狙っているそうです。
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=SMT&PG=STORY&NGID=home&NWID=2004090801001225

もう一度見た時の感想はこちら。
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