The Spread Life.

今、意外に手こずっているのが、「ブレスコントロール」の練習です。
1拍=メトロノーム60、つまり、1拍=1秒程度のテンポで練習する音階練習で、一つの音を2拍ずつ伸ばします。
具体的には「ドーレードー」(息継ぎ)「ドーレーミーレードー」(息継ぎ)「ドーレーミーファーミーレードー」(息継ぎ)、という具合に少しずつ音を増やし、最終的には「ドーレーミーファーソーラーシードーシーラーソーファーミーレードー」というように、音階を完成させます。この音階をひと息でやるのが非常に難しい。たいてい、途中で息が足りなくなってしまうのですよ。計算してみたら30秒くらい吹きっぱなし。普通にやったんでは息が持ちません。
で、この練習を習いたての頃、自分の肺に入る息の量を増やすことばかり意識していました。しかし、成長期を終わってしまえば、だいたい人の肺活量なんて早々変わる物じゃないです。つまり、今ある息の量で、このワンフレーズを吹ききらなくてはならない。息を増やそうとして無理に多量の息を吸い込んでいたら、全くコントロールできずに暴発しましたし。


これって、パンにチョコレートを塗る時に似ています。ティースプーン半分と決まっている量のスプレッドチョコ(パン塗り用のチョコレート)をパン全面に塗るには、これ以上チョコを増やせないなら、薄く塗るしかありませんね。


無理にあと100ミリリットル息を増やそうとするのではなく、今ある肺活量で最後まで吹ききる……ごくごく微弱な音でも出せるような練習……が必要だったのです。あと100ミリリットルとだけ考えていた時には解決できませんでしたが、今ある息を活かす方面を考えるようにしたら、なんとかギリギリで息をもたせることができるようになってきました。


スプレッドな人生。今無い物を悲観するより、ある物だけで課題をこなすこと。
トロンボーンがその可能性を教えてくれました。