トロンボーン奏者のための吹奏楽アレンジ法……っていうようなもの、が、あったらいいなあ。

トロンボーン話。かなりしばらくぶりに。
この楽器、吹奏楽の中でもかなりの変り種。

まず、スライドだから、音の高さの切れ目がない。トランペットとかではピストンを押すと音がきっちり変わるけれど、スライドを伸ばしたり縮めたりすると音が変わるトロンボーンの場合、大体この辺がレかな、この辺がミだろうな、みたいな練習をたくさんして、自分の音感覚を頼りに音階を練習する。
こんな楽器、ほかにあんまりない。近いところではバイオリンとかがそんな感じなんじゃないかと思うけど。あれも弦を押さえる位置を覚えるのまでは大変そうだよね。


あと、金管楽器だから、同じスライドの長さのところで、いろいろな音がする。リップスラー(リップトリル)の練習でこの感覚を磨く。基本的にはスピードの速い息を出すと高い音なんだけれど。熱いスープを冷ます息では音が高く、寒い日に手を温めるときの息では音が低くなる、そんな風に考えると一般の人にもわかるかもしれないね。


で、そんな変り種の楽器だけれど、吹奏楽の曲の中でも、かなり変わった使い方をされる。
打楽器は話がややこしくなるので、申し訳ないけれどちょっと脇においておいて、管楽器について見ていってみようか。

たとえば、フルートやクラリネットオーボエは、たいていメロディーを担当する。
トランペットは華を添えたメロディをやったりする。
ホルンとユーフォニアムサキソフォンあたりは、対旋律といって、メロディの下に流れる別のメロディをよく吹いている。たとえば、何かの歌なんかで、
「♪こころを〜(るるるる〜)ゆさぶる〜(るるるる〜)あーのーこーとば〜(らららら〜)」
と、追いかけている(かっこ)内のパートがあると思うけれど、そういうようなことをやっていることが結構ある。
チューバ、コントラバスバリトンサックス、ファゴットあたりは、ベースラインを担当する。ロックバンドでいうベースがやっている、ああいう低い音で渋い音で、しっかり曲を支えるような。


で、トロンボーンは、というと……かなりいろんな使い方をされるんだな。
まず、どんな高さにも音が微調整できるから、和音が得意なので、和音伴奏をやることが一番多い。
でも、音の高さが低すぎず高すぎないので、かっこいいメロディが回ってくることも多々ある。
またはチューバの手伝いのようなことをやっていたり、ユーフォニアムほどではないけれど対旋律を吹いていることもある。


まあ、この例はかなりディフォルメしていて、一面的な見方でしかないけれど。
こういうトロンボーン奏者の可塑性に特化した吹奏楽編曲の習得メソッドがあってもいいんじゃないかな、と、なんとなくぼんやりと思ったわけだ。なんでもやらされているパートだからこそ、見えているものがあるんじゃないかなあって。