明日から31歳らしい。

いつもにはない寄り道をしたら、数年ぶりな友人とバッタリ再会した。お懐かしい! とばかりに近況報告に花が咲いた。元気そうで何よりだった。まず、再会はあり得ないだろうと思っていた友人だったから。
ちょっとした散歩(ウォーキングの歩数稼ぎ)で気まぐれに立ち寄った本屋。秋の物寂しさを、本の購入で埋めていたところだった。しかし、その本屋自体、入ったのは初めてだったと思う。そこが彼女の通勤ルートにぶつかっているのは、偶然以外の何者でもない。


20代のある熱狂的な時期を、私は彼女とその共通の友人との共同運営サイト制作に費やしていた。というより、共通の友人にスカウトされ、彼女を紹介されたのだった。
初めて触れる音楽ジャンル、ロック。インディーズの現実を目の当たりにしながら、音楽情報サイトを制作していたあの日々。
クラシック音楽吹奏楽で培ったリズム感は、動画の編集に役立てられた。数週間に2〜4本程度のショートムービーを制作し、ネットで配信する。今でならYoutubeがあるので比較的楽に出来ただろうが、当時はストリーミングがまだ始まったばかり。Yahoo!BBショック冷めやらぬIT業界では、ようやくADSLが全国に広まりつつあったころだった。だからサーバレンタルにも手間がかかったし、コンテンツの制作(今のようにBlogやCMSなどなかった)はソースをメールで送り更新担当者が直して行くような具合。
何度も夜中までミーティングやデータ制作に費やした。決して近いとは言えない、仕事場と作業部屋(共通の友人の部屋だった)の往復。少ない機材でいかに良い画像を作り出すか。さまざまな試行錯誤。
セキュリティに不行き届きがあり、ウイルス感染に気が付かずにデータを発信してしまったのは、今でも苦い思い出だ。
それでも、先進的なことを進めている自負と、コンテンツそのものへの興味、リーダーの熱意により、1年以上サイトを更新していた。ただ、だんだん、シゴトとの両立や、自分の本来やりたかったこととのズレが気になって来てしまい、メンバー内でもコンテンツの充実度を上げることとそのことからの報酬(金銭面だけではなく、自分の人生に対する対価)の少なさが、モチベーションを下げて行ってしまって、そのサイトは自然消滅してしまった。もっとも、終了の引き金を最初に引いたのは、システム的な面を一手に引き受けていた自分だったが。


あのころの熱狂が、今、欲しいとは敢えて思わないが。
ただ、燃える何かが欲しいとは、常々思っている。
人生、今のままでいいのか、30歳の最後の日に考え込んでいる。
焦る必要があるとは思わないが、光陰矢の如しであることも、また、真実なのだ。