エカテリーナ2世もご飯を食べる

開館25周年記念 国立エルミタージュ美術館所蔵 エカテリーナ2世の四大ディナーセット ヨーロッパ磁器に見る宮廷晩餐会」を福島県いわき市立美術館で拝見して参りました。


まずは予習として

女帝エカテリーナ (1) (中公文庫―コミック版)

女帝エカテリーナ (1) (中公文庫―コミック版)

女帝エカテリーナ (2) (中公文庫―コミック版)

女帝エカテリーナ (2) (中公文庫―コミック版)

女帝エカテリーナ (3) (中公文庫―コミック版)

女帝エカテリーナ (3) (中公文庫―コミック版)

を通読。改めて、激動の国・ロシアの血と権謀と豪奢な歴史に思いを馳せました。ヨーロッパでの女性為政者は、気質は剛胆にしてかつ芸術を解する知性の持ち主が多いような気がします。それだけ大変な歴史を切り開いて行った「英雄」が多いのかも。


展覧会の会場は、今週だけは月曜日だけれど開館していたのですが、お客さんがあまりいませんでした。昼過ぎだったのですが。てっきり中高生とかが夏休みの自由研究とかしにきているかなと思っていたのですけれど。月曜開館って知らないヒトが多かったのかも*1


お客さんが少なくって美術館には悪いけれど、のんびりじっくりしげしげと頭の中でマンガの世界を楽しむことができました。……というのも、展示の仕方が、テーブルをしつらえてその上に飾る、という、非常にリアリティのある方法だったのです。壁面にも工夫がされていて、一部に壁紙を入れたりして、当時の雰囲気を来館者が想像できるように工夫してあって。おかげでひとしきり空想・空想・妄想……。貴族の華やかな人たちが、お酒を手に笑いさざめき、肉料理に舌鼓を打つ……。そして近くの席のヒトとお話をする……。その腹の中では冷徹な計算が働き、あるいは相手のココロを探り出そうとして……。またあるときは貴公子の登場に場内が沸き立ち、娘さんはほほを染め……。またあるときは侮辱されたことに腹を立てた越後屋風の無頼面が、クールな女帝に一喝され……。華やかな宴、美しい音楽、食を楽しみ器を楽しみ、踊りをたのしむ人々の群れ……。その裏にさす薄墨色の影の気配……。恋の鞘当て、駆け引き、巧みな話術、社交界の暗黙のルール……。意外な人々の出会い、別れ、愛、憎しみ、驚き……。お酒の香り、シャンデリアの輝き、ろうそくの光と影……。


私にとっては、リアルな「うつわ」とバーチャルな「まんが」の出会いでした。
権勢を示すために実際に作られ、使われた器。そしてまんがの中の心理ドラマが、見事に結びついて非常に楽しかったのですよ。


会場の休憩所には、参考文献が置かれていて、この時代についての理解を深めることができます。その中には池田理代子さんの「女帝エカテリーナ」も置いてありましたよ。


また、自分でお皿をデザインして会場の一角にそのイラストを展示していただける体験コーナーもありました。紙と色鉛筆の貸し出しがあります。
わたしも描いてみました。

「信号ラッパの休日」です。
あの名曲「トランペットの休日」になぞらえ、吹奏楽の町・いわき訪問記念として描いてみました。あの曲は普段オーケストラでは暇なトランペットが、休日だから思いっきり吹くぞー、という曲らしいのですが、これは逆。毎日時報を発信するのに疲れた信号ラッパが、たまにはのどかな草原でお昼寝している、という感じです。


作品はパウチして展示し、会期終了後、自宅に郵送してもらえるそうです。


会期は2009年7月18日(土曜日)〜8月30日(日曜日)です。
夏休みのひとときを、優雅だった時代に思いを馳せて楽しむのも一興ですよ!

*1:あとは大雨の影響かもしれませんね。地元の川がかなり増水していて、アリオスホールの前の川にあった群生ひまわりが水につかっちゃってかわいそうでしたし。昨日、吹奏楽コンクールが終わっていて良かったなあ……。