民衆のエンペラーという矛盾した存在

iPhoneって、いろいろな使い方を出来るので面白いですね。
漫画を読むのにも使えちゃう……しかも画面が今までのケータイコミックより大きい!
というわけで、前々から読みたかった大長編歴史漫画、池田理代子先生の『栄光のナポレオン−エロイカ』を読んでいます。

もう、なんだかんだで佳境に入っていて、ロシアの冬将軍に敗退したところを読み終えました。
高校時代、『大序曲1812年』(ピョートル・チャイコフスキー作曲)で演奏した(あれはロシア側から見た場合でしたが)ナポレオンのロシア遠征
広い広いロシアの大地。奥深くまで誘い込まれたフランス軍は、ロシアのもう一つの戦力・冬将軍にやられて歴史的惨敗を喫してしまう。
そして、当時のフランス軍はナポレオン自身が強みであり弱点でもあったことも露呈。
国内の政変を抑えるため、ナポレオンが先にパリに帰ったとき、残された将軍たちではフランス軍をうまく指揮することが出来なかったという……。
つまり、指示されることに慣れすぎてしまって、自分たちで考えることが出来なくなってしまった、と。
これ、現代の企業等でもよくある話です。カリスマ経営者が病気入院などをしたら、事業がうまくいかなくて株価暴落とか。


『ナポレオン皇帝』自体、民衆が望んで生み出したもので。皇帝となってしまっては、戦争を続けるだけ続けるしかなくなってしまったわけで。いかな天才でも、永遠に勝ち戦を続けられるわけが無く……。いずれはフランスが敗れる日も来て。
国が存亡の危機だったときは、強いリーダーシップが求められますが、安定期では共和制がふさわしい。でもそんなに自在にやっていける国など、そうは生まれません。


組織を率いるものは、自分が去ってもその組織が廻るようにして、はじめて仕事を成せたといえるのかもしれません。
あるカリスマが出てきて国や組織が奇跡的な繁栄を見せたとき、その余裕がある時に次世代の安定への老かいな作戦を実行しておかなければならない。
難しいことです。


私自身がシゴトで心がけていることは、ともかく常にRead Meを残し続けること。共有サーバなどにデータを作っておくこと。
これは、実ははてなの近藤さん(社長さん)が、昔どこかでコメントしておられていたことから学んだ習慣です。
自分がいなくなっても、廻る組織を作っておくことが社長の仕事、みたいなこと。
私はそんなに偉いわけではないのですが、アレを読んで以来、ともかく手がかりとかを次の人のために残すのを習慣にしました。
ただ、手かがりや資料があっても、それを解析・実行できる力量がある人に届かなくては意味がない、というのも事実です。
そのあたりは、次にシゴトを託した方を信じるしかありません。自分が残した手がかりの半分以上が死蔵品になるかもしれません。それでも。10のうち、1でも役に立てば。


話が脱線しました。
ともかく、民衆が望んだ皇帝、という矛盾した存在として君臨したナポレオン・ボナパルト
もう少しで読み終わるので、彼の死に様を見届けたいと思います。