超進化形態「ユーバーゲシュタルト」とは?

真・女神転生 STRANGE JOURNEY(ストレンジ・ジャーニー)

真・女神転生 STRANGE JOURNEY(ストレンジ・ジャーニー)

1.5周目。さまざまな仲魔と試練を乗り越えてきた迷子隊。主人公は、ちょっと悪魔(not 小悪魔)的になってしまいました。
そんな彼と、ゴア隊長が再会したら……?
ゴア隊長が言う、「ユーバーゲシュタルト」とは、ドイツ語では「uber gestalt」と書くようです。uberとは、英語ではsuperに相当する語。またgestaltとは「形態」。よく心理学とかで「ゲシュタルト崩壊」っていうんですが、あのゲシュタルトだと考えてよいでしょう。
つまり、彼が「超進化形態 ユーバー・ゲシュタルト」とまとめて言ったのは、まあ、そのまんまの語といいますか。おそらく、シュバルツバースを彷徨しているうちに、生命体としての進化を遂げてしまったと。知識面だけではなく肉体面でもきっと。だからデモニカスーツを着用しなくても平気でその辺をうろうろしていられたんですね。だいたい、セクター・ホロロジウムの地下9階って、溶岩の海で生身の人間では歩けそうにないフロア。セクター・エリダヌスみたいな割とわかりやすく整っている空間ならともかく、ホロロジウムはカオスの総本山。歩けているほうがおかしいんですよ。1周目(ニュートラル・ルート)のときのヒメネスさんも、悪魔化してしまったから平気だったんでしょう。


というわけで、人間を超えた人間になっちゃったゴア隊長に連れられて、メムアレフと面会……というか、寝ているところを観察。やっぱりアンノウンでした。巨大なアンノウンのエネルギー体。一度クリアした身なのでここでの伏線に気がつきました。ゴア隊長が見ていた寝ている姿とは、たぶん最初の形態の金色で横になっているあの姿。しかし彼の慧眼は「これが真実の姿かどうか」と、真の姿が別にあることすら察していたようです。真の姿があの巨大な緑色の胎児のようなものだったんでしょうね。あらためて、1周目でしでかしたことの恐ろしさを感じてしまいます。そこまでやらなきゃシュバルツバースは消し去れなかった。


とりあえず、アーサーの元へとゴア隊長ともども赴きます。彼、テレポートなんかもできるようになってしまいました。これが「ユーバーゲシュタルト」の力か……。


隊長としてカムバックした彼は、未来のことも鋭く予知。さまざまな要素の絡み合いからある程度未来は予測できるようで、隊員が無事に地上へ戻れれば、2年後に家族の病気が治ったり娘さんが就職できたりする、と、隊員たちを気遣います。アーサーに精神波でデータリンクして今まで知ったことと今後のプランを提供しながら、やさしく強く未来を語るゴア隊長は、本当に人間以上の圧倒的な存在感を放っていました。なんだか、近寄りがたい。


しかし、その最終プラン実行のためには悪魔を退治しなくてはならない、わけで。ゴア隊長は人類の一員として戻ってきたのですから。
……それはつまり。
悪魔の自由さに惹かれ心を喰らい尽くされた主人公は、もうすでに人間ではなく悪魔の一員とみなされる。ゆえに粛清されなければならないということ……。人間が悪魔になってしまう世界は許されないから。


……たしかに。カオス・ルートの展開を知るため、という大義名分のもとに、あの小さな悪魔から埋蔵物を奪い取り続けたとき、申し訳ないと思いつつも結構楽しんでいた自分もいました。そしてそこから掘り出されタダで得た薬類は、仲魔が受けた小さな傷の治療に用いてしまいました。人間であれば、せめて手伝ってあげるべき(その後埋蔵品をもらうにしても)。何もしないで強引に奪い取る(描写はないけれど、たぶんちょっとした武器を突きつけるなりしていたはず)のは、普通の人間のするべきことではないです。


こんな自分の一面もあったんだ。力は自由であり、力で自由を得ることを楽しめる自分もいた。
それは、悪魔ではないか?


愕然とするプレイヤーをよそに、壮絶なるバトルは始まってしまいました。かつての上司・ゴア隊長。決して戦いたい相手ではないのですが、黙って粛清されてはたまらない。道を違えてしまったのですから。


便利な武器・フロスト砲でいろいろ撃ち出してみて、隊長の弱点は疾風にあるとわかりました。ちょうどよかった。パーティのメンバーはガルーダ・ラクシュミ・ヴェータラでしたが、ヴェータラをランダさんに交代させれば疾風三連打することができます。それに、物理・銃の反射もできますし。毎回メディアラハンを絡めてこちらのペースでバトルを進めていけました。
ゴア隊長がこれではかなわないと力をチャージし始めたときに予感を感じて主人公は防御。やはり、「当意即妙」という強烈な一撃が主人公を襲いました! これ、防御していなかったらやられていたかもしれません。体力が半減以下まで下げられてしまいましたから。


そして、ランダさんのコンセントレイトしたマハガルダインに主人公は追撃し、ゴア隊長に勝利!


決着したのはいいんですが……強烈なエネルギーのぶつかり合いで爆発が起こり、司令室はメッチャクチャになってしまいました。あー、やっちゃった。どうしよう。ここまでするつもりはなかったんだけど! ゴア隊長にやられたくなかっただけで!
なんと、このショックもあって司令コマンド・アーサーも暴走回避のために自己消去してしまいました。あ〜あ……ゴア隊長だけではなく、アーサーまで失ってしまった……。ごめん……。なんといえばいいんだ……。


そこへ。悪魔化した人間という意味では兄貴分になる、ヒメネスさんが仲魔をたくさん引き連れて戻ってきました。ちょうどいい。これからどうすればいいか相談しよう……。話を聞いてくれれば、ですけど。


出迎えると、ヒメネスさんは聞いてくれるどころの話ではなく……よくやってくれた、とゴア隊長打倒を褒めてくれてしまいました。えーっと? どういうことですか?
どうやらヒメネスさんから見れば、ゴア隊長は「母たち」の裏切り者であったらしい。はあ。そういう見方もできるのか……。人間に味方したい=悪魔を裏切る、ということになるんですね。うーむ。
おまけに、レッドスプライト号のみんなを精神的に自由に開放し、ナチュラルハイにさせてしまいました。うあ、雰囲気がぜんぜん違う……。司令室が壊れたことすら似つかわしいとまで言い切る同僚もいるし。


ヒメネスさんの助言では、メムアレフに会って、これからどうするかの話を聞いて来い、と。これから、悪魔と人間が共存する、自由な世界を作るための戦いが始まるのだ、と。


なるほど。
普通のRPGだったら、魔物はすべて倒し、光の勇者が世界を平和にして終わるけれど。真・女神転生ではそれだけではないのですね。
いわゆる光の勇者的な展開は、たぶんロウ・ルートになると思います(展開を予想すると)。
ニュートラル・ルートは、光も闇にも味方しない、人間だけの力で世界を解放するルートでした。虚無世界を消去し、自分たちだけで地球を再生するために。
そして、カオス・ルートでは、魔物と勇者が協力するという新境地。まったく展開が読めなくなってきました。


新しい世界や価値観を構築するには、3つの方法があります。
ひとつは、従来の世界観のよいところは残し、悪いところは反省すること。
ひとつは、ある価値観でリードし、秩序によって世界を整えなおすこと。
ひとつは、今までのものを破壊し、力による解決がなされるのを、自然に待ち、再生すること。


最初のひとつがニュートラル。
次が、ロウ。
そして末尾がカオス的な考え方です。破壊と再生はカードの表裏。


まずは、シュバルツ・バースの源流と考えられているメムアレフに会ってこなければ。
体勢を整え、一応バトルの準備もして世界最下層へのエレベーターに乗る一行でした……。