ゴーストトリック

ゴースト トリック

ゴースト トリック

逆転裁判巧舟氏の新作ミステリーゲーム。イーカプコンでCD付きで買い、週末に一気にクリアしてしまいました。
「逆転」でもそうでしたが、奇想天外な仕掛けや手がかりに、不可思議すぎるキャラクターは健在。そして、どこでもセーブができ、謎に何度でも挑むことができるシステムも携帯機にはありがたい。加えて、密度の濃いグラフィックと滑らかなキャラクタ―の動きは、DSという小さな箱庭の中だからこそ生き生きと動いていて、見ていて面白かったですね。音楽もあえてPCM音源も加えたもので、ゲームっぽい良い意味でのチープさと、今の技術だからこそできるシンセっぽいかっこよさが融合していて、レトロさと未来っぽさが同居していて良かったです。
体験版をやったときに感じたのは、これは2010年に生まれ変わったジャレコの『マニアック・マンション』かもしれない、ということ。奇妙なキャラクター、(当時としては)緻密なドットグラフィック、豊富な仕掛け、好きなところをマウス的に調べられる柔軟性(当時は枠を十字キーで動かしてAボタン、でしたが)サイケでパンクな音楽。
あのゲームを(クリアしたかどうかは別として)好きだった向きには絶対オススメです。
それに、このゲームは攻略本なしでもじっくりじっくりやれば自力でクリアできますし(選択肢の量が適切に絞り込まれている)、長過ぎるパスワードに苦しめられることはありません(^^;)。その意味で1本クリアした充実感を得られました。


ただし、人の死が軽く扱われているような印象を受けかねない(終盤ではむしろ命や人生の大切さが分かってくるのですが)ですね。導入部からして死亡シーンですし。そのことでプレイヤーを選ぶかもしれません。もう、本当にたくさんの人が死んでしまうので。その分、主人公たちがその死を救うわけなんですが。救えるから死んでいい的なゲームと捉えられかねないなあと。最後までやればそんなことは無いって分かるんですけど……。


「逆転」でも、証拠はいろいろな観点から見て、新しい可能性を引っ張り出すのが醍醐味でしたが。本作もまたモノやストーリーを色々な観点から見つめて、一見ああだと思われていた人物の本意は意外にもこうだった、とか、あのようにしか使えないだろう、と思ったアイテムが実は……ということが沢山あります。アイテムをコレクションして使うタイプのゲームではなく、その場所にあるアイテムにとりついて別の活用法を模索するというのことの連続です。たとえば、ポールに巻き付いた旗と横倒しのミキサーと扇風機を合体させると、ハシゴ代わりに上の階へ登ったりできます。どこをどうやれば旗+ミキサー+扇風機=ハシゴ、なのかはゲームで。本当に奇想天外の連続でした。


そうそう、脱出ゲームが好きな人にもお勧めかもしれません。「死を回避する」ことと「閉じ込められた部屋から脱出する」ことでは、ニュアンスは違いますが、ゲーム的にやることはそっくりですから。


そして、最後の方で「相棒」となるふたり。最後の最後で「相棒」に戻るふたり。
本当に泣きながらプレイしてました。こういうのに弱いんです……。


一気にクリアしてしまったので、現在ゆっくりと再プレイ中。イーカプコン限定のサントラCDの音楽もかなり楽しくてお買い得でした。