テストプレイはスウィングガールズで。

さて、DVD環境が一応できたということで。(いや、テレビ用DVDプレーヤもあるんですけどね)
DVDのテストプレイもかねて、スウィングガールズを見てみました。フリーウェア「VLC」でだいたいのところは見られたんですが、おまけの予告編が大幅に画面が乱れてみられませんでした。
それはともかくとして、矢口監督と出演者のトークを聞きながら再生できた(2バージョンあった)のでそれを2種類と、途中まで英語字幕で見てみました。(さすがに3回連続はきつかったので途中で中止しましたが、じっくり見てみたい気もします)
細かく見ていくとなかなか面白いです。劇場で見たときは気がつかなかったことがいろいろと。布団をたたいている中に痴話げんかしているカップルがいるとか、A列車で行こうを列車の中で演奏したっていう引っかけとか。


で、あらすじ的に見直してみて、この映画、実はスウィングジャズをやらなくてはならない必然性ってかなり無理矢理なんですよね。弁当を腐らせた責任上吹奏楽*1をやることになって、人数と編成と偶然からスウィングジャズに行ってって。まあ、必然性が最初からない「ジャズ」というジャンル。だからこそ自然に普通の女子高生がジャズをやるとかっこいい、という流れになっていけたのかなあと。そこらが面白いところですね。ジャズらしきものができたとき、ちょっとかっこいいのが分かったから、ああいう話の流れになっていった訳で。
英語字幕版を見ていて、このあたりの背景であるごく日本的な学生文化(夏休みには補習があるとか、高校野球の応援には吹奏楽が必要だとか、高いキノコといえば松茸だとか)って、外国の方には理解しがたいものがあるかもしれないと思いました。その一方で、音楽をやらなくてもよくなったのにアルバイトをして中古楽器を買う、という筋立ては多分分かるんじゃないかなあと。


でも、そういうツッコミを入れつつも、やっぱり面白いから何度でも見てしまえるのは、作品の持つパワーとしか言いようがないです。吹き替えを使わなかったサウンドといい、そこからにじみ出るガールズの明るさといい。(改めて丁寧に音を聞くと、微妙にずれてて下手なところがあって、でもそれがかえって「らしい」というか)細かくキャラごとの表情を追ってみるのも楽しいし。(特にTromboneの関口さんとか。チューニングの大声ってあれが人生初の大声という設定らしいです、矢口監督的に。)
楽器始めて1週間のときの合奏の音って、やっぱり何度聞いても「初心者の下手」な音をうまく出しているんですよね。っていうより、まだ「下手」を抜け出せない時期に収録したらしいので。うまい人にあの音はまず絶対に出せないと思います。
で、以前*23ヶ月くらいで吹奏楽器はあそこまで上達できるか、というのを考察したのですが、じっくり見てみて、音的な無理は(最初の1週間を除けば)実はそれほどないんですよね。ともあれ何回見てもびっくりなのはやっぱり最後のシーンのソロの連続でしょうか。金管やってたから分かりますけれど、あのトロンボーンとトランペットのソロはかなり練習したんだろうなあと。トロンボーンのソロは難しさがよくわかりますし、トランペットも音を1音ごとにスライドして落とす感覚って、かなり慣れないと無理。


練習と言えば、上野樹里さんがこのDVDのトークの中で言っていましたが、夏にスウィングガールズを撮影し、秋はNHKの「てるてる家族」の撮影、冬にまたスウィングガールズの撮影をすることになって、その間の練習はどうしていたかと言うと、「てるてる家族」を撮りながらも、NHKのスタジオのどこかを練習場所に、ほぼ毎日練習したって言うんですよね。やっぱり、それなりに定期的な練習を積まないと楽器は下手になるので。音がうるさいっていう苦情も何度かあったみたいですけれど。詳しいことはDVDで聞いてください。かなりのハードスケジュールだったみたいです。


それだけかけた甲斐がある、いい映画だったなあ。2回劇場で見ましたが、やっぱりこの映画はステージ的にみるのが一番格別な楽しさでしたね。
これから、嫌なことがあったら「スウィングすっぞ〜〜!」が一番いいのかもしれません。そんなに長い映画じゃないし、何度も見ようと思います。

*1:そういえば、吹奏楽をthe brass bandと訳していたような。日本の吹奏楽を英訳すると the wind band か the wind orchestraあたりが正確かと思うのですが。木管楽器もある訳だし。

*2:id:Yuny:20040924:p1参照。