新宿春の楽しいジャズ祭り

新宿文化センターにて、「春の楽しいジャズ祭り」を聴いてきました。
このイベント、大ホール・小ホール・ロビー・ホワイエ・会議室など各所・はては和室まで、新宿文化センターを全てジャズで埋め尽くす丸一日のビッグコンサートです。
楽器ジャンルは多岐に渡り、ゴスペルからフリージャズからボーカルからビッグバンドから何からカニから……ややマニアックな吹奏楽ジャズ、パイプオルガンもジャズ!
会場のどこへ行ってもジャズ・ジャズ・ジャズ! それを延々8時間です!


大ホールでは吹奏楽の団体も2団体観られました。新宿区吹奏楽団のポップスと、都立戸山高校ブラスバンド部のジャズ。新宿区吹は3月4日に定期演奏会があるそうで、そこでやる曲から事前披露。バストロンボーンの人がやたらと目立つ音をしていたのが印象的でした。「ディスコ・キッド」もやっていましたね。戸山高は学生指揮の吹奏楽団らしく、若々しいサウンドで聴かせてくれました。声も出てたしやたら元気一杯。いいよね、高校生! リアル『スウィング・ガールズ』でしょうか?(男の子も一杯いたけど)ソリストの皆さん、ちゃんとジャズになってましたよ。自分が高校の時はアレはできなかったかも……(クラシックの方が得意ってこともありますけど)。学生指揮でもここまで来れるんですねえ。いや、だからこそ、かな。高校時代、自分の学校も学生指揮だったのでなんとなく雰囲気は分かります。良い演奏をありがとう。


ロビーでは各楽器ごとの「サミット」イベントが面白かったです。
これは色々な楽器を中心に集めたジャズアンサンブルでステージを構成するもので、出演順に……チューバ・サミット、クラリネット・サミット、サックス・サミット、チョイ悪らっぱおやじたちとRIKOカルテット(要するにトランペットサミットみたいな)、そしてトロンボーンサミット、と、楽器ごとというのが珍しいものでした。しかも2時間ぶっ通し!
とくに、チューバアンサンブルなんてそうそう吹奏楽でも聴けないですし。ジャズとなればここでしか観られないでしょう、たぶん。チューバ5+バンジョー+ドラム。他のサミットもそうですが、みなさんプロなのでうまいんです。ジャズ・チューバ、いいじゃない。オヤジ臭くて(失礼!)実にそれがいい。
クラリネット4+ピアノ+ウッドベース+ドラム。クラリネットの皆さんも芸達者でした。それにしてもステージ上でちょっと打ち合わせしただけで即興で作曲してアンサンブルを成立させて演奏しちゃうなんて……、スゴく驚きました。ジャズではこういうのも日常なのかな?
サックスサミットは結構人数がいた……としか覚えてません。ラッパとトロンボーンの方もいらっしゃってたし。あのサックス独特の渋い音ってどうやってるんですかねえ。うまく書けませんけど……堪能しました。
この辺でふと周りを見渡してみたら、会場はお客さんでいっぱいになっていました。開演前は席を取れたのに! いつのまにやら。なんか、人が沢山いて夢中で聴いている熱気みたいなものって、すごいですよね。
トランペット6人(かな?)も面白かった。あれだけ指が廻るのはうらやましいです(トロンボーンには無理!)。ステージパフォーマンスでも盛り上がるし……ライブは音だけではないんだなあ……。
トリのトロンボーンは壮観のひと言。7人くらいかな。それにピアノやバンジョー、ギターと1曲だけ女性ボーカル。「この素晴らしき世界」をしっとりと聴かせてくれたり、各人ソロで盛り上げてくれたり。うーん、アドリブってカッコいい。吹奏楽でもたまにジャズやると出てくる事ですが、あれは結構難しいものです。


各所会場もざっと廻りました。
素人ながら演奏家として気になった事は、会場の照明効果と演奏ムードの相関関係です。
会議室系の会場になったところは、どうしても白色の蛍光灯で照明をせざるをえないので、よく見える分雰囲気も冷めるかんじがどうしても。これはプロの演奏でもそうで、演奏自体の面白さとは別に「熱気」「一体感」「盛り上がり」という意味では、暖色系の照明を入れられた会場の方がやっぱり良かったですね。自分ならミニ照明を借りるか、蛍光灯に黄色系の大型セロファンでも貼ってしまったかも? (中学時代の学園祭の展示で蛍光灯+青セロファンで無理矢理に照明を用意した経験があります)
和室会場のジャズが非常に面白い空間でした。和室なので、靴を脱いで座布団で。そうするとなかなか退出しにくくなるし、腰を落ち着けてじっくり聴けるし。リラックスムードになります。これは会場の照明色が白色蛍光灯でもあまり深く関係しなかったと思います。
客席を暗くして、ステージを色照明で入れる事って、心理的に重要だったんですね。白い照明だと人間緊張しますし。
曲のこととは別に面白い発見でした。


それから変な楽器も発見。ブリキの洗濯板って楽器になるんですね。いろんな鳴り物がひっついて一つのセットになってましたけど。あれ、作り始めたらハマるだろうなあ……。ちゃんと「Wash Board」っていう名前の楽器になってるそうです。ウマい人がやればスネアの代用にもなりそうな、意外にしっかりした音を持っていました。


それにしても、なんだか高校の文化祭みたいな感じでした。楽器と奏者と聴き手がいれば、どこでもコンサートホール。そんな、音楽の原点を見つめ直す良いイベントでした。
沢山の出演者の皆さん、スタッフの皆さん。ありがとうございました。