- 作者: 松岡圭祐
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/03/25
- メディア: 単行本
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……単行本にDVDが付属するというか、DVDに付属する単行本というか。著者の松岡氏がペンを走らせ(原作・脚本)メガホンを持ち(監督)カットカット(編集)……という、前代未聞のDVD+単行本。ライトノベルのドラマCDとかで作家がプロデュースして脚本もやって……というケースはたまにありますが、映像化するのは日本でもかなり珍しい試みではないでしょうか。
かなり楽しませていただきました。荒唐無稽ではあったけれど……のめり込んで楽しんでいたのも事実です。
ただ、全体的な雰囲気が怪獣映画っぽい(何というのかな)感じが。怪獣は出てこなくて敵は新興宗教集団のようなものですが。そこが面白いと言えば面白いんだけど……。
あと、セリフまわし、カット割りが早すぎるシーンがいくつかあって、その中で重要な文字が表示されていたりしたので、読み取れないヒトにはつらいんじゃないかな?
CGで看板とか合成しているシーンがあるんですが、あまりにもCGっぽすぎて違和感が。もうすこしなじませた方がいいかなと。無人マンションの前の看板とかステルス戦闘機とか……質感が非常に気になってしまいました。VFXやったの、メフィスト・コンサルティングの皆さんだそうですが(苦笑)、もっと腕を磨いては?
それから、欧米人がしゃべるシーンを日本語に吹き替えたのが違和感ありまくりでした。字幕でいいと思う。カメラもアクションとかの揺れるシーンであそこまで揺らさなくてもいいかと……場合によっては悪酔いしそう。それと、ストーリーの流れが、なあ。これが千里眼初見のヒトにはちょっと早すぎるかもしれない。クラシックシリーズの1巻(千里眼 完全版―クラシックシリーズ〈1〉 (角川文庫))を読んでからの方がわかりやすいかもしれないです。
でも、まあ、小説家でここまでやっちゃう作家さんもすごいし、やれちゃうくらいに売れているのも事実だし、実際楽しかったし。俳優さんの演技、音楽的な要素は良かったと思います。
そして、DVDのストーリーの続きである小説の方は、いつもの千里眼以上に面白かったです。やはり、映像が頭に浮かびやすくなっていて。ただし、メフィストとの絡みはやっぱり初見のヒトには意味不明かもしれないなあ……。
小説を他媒体で立体化する一つの試みとしては非常に面白かったと思いました。