キャプテン翼マガジンvol.19

あの『キャプテン翼』の原作コミックが終わる件。

キャプテン翼マガジン』(vol.19)を購入して、より詳しく確認してみました。
正確なところは誌面にて譲りますが。あまり報道で触れていない点として、デジタル化の波でアナログ仕上げができるスタッフが減り、スクリーントーンなどの画材が入手困難になってきたことへの言及が気になりました。
新宿の世界堂に行った時、確かにスクリーントーンとかは減ったなと思ったんですけど。プロ漫画家さんなら、なおのこと感じるところでしょうね。
キャプテン翼』はデジタル化せず、アナログで今でも描いていたと。
これから漫画家になるような人は、手始めや基礎固めとして多少はアナログ漫画の勉強をすることもあるとは思いますが、格安でデジタル環境が手に入りやすくなってきた昨今、敢えてアナログから入る理由はなくなってきているように思います。PCどころかタブレットで仕事が完結するプロ漫画家さん、増えているみたいですし。
少年ジャンプ編集部公式で漫画制作アプリを出していたこともありました。
それに、ネーム原作だけで投稿できる漫画賞も増えました。
漫画をデジタルで描く、あるいはもっと手軽に描く、みんなに発表する、そんな環境構築のコストは下がってきていると思います。
そんな中、『キャプテン翼』がオリンピックの準決勝の後半戦で幕を下ろすという。
決して不人気ではなく(人気がなかったら独立したマガジンでは採算が取れないはず)、作者様の様々なリソースの限界で。
時代がまたひとつ、という感じがしたのと同時に。
ネームで描き続けたいというのは朗報です。
せめてストーリーは知りたい、という、これまでも何人もの長編作家さんが道半ばで天に召されるたびに思ってきた読者としての願いにこたえてくださるようで、ありがたい話です。
ネームでもいいから原作があれば、いずれはアニメ、演劇、朗読劇、別の漫画家さんによる作画、小説、ゲーム……といった形で『翼』たちの物語が語られるという未来への希望が持てます。
今は表現ジャンルはたくさんあり、原作の味を殺さずに上手くカタチにしてくれる良心的なアレンジャーさんも増えています。
また、ネームだけでの単行本化、というのも『翼』ほどの作品であればアリだと思います。
先生は不本意かもしれませんけど。
長編連載を続けていて、もう自分の体力や視力などのリソースが思うに任せなくなってきた全ての作家さんへのモデルケースになるんじゃないか、と思うんですよね。
それで思い出したのが、あさぎり夕先生。
もう亡くなられましたけど、漫画を描くのが体力や視力などの問題で同じように厳しくなってきた頃、小説の仕事を増やされていました。
ジャンルも作風も作業量なども全然異なる方ではありますが「あの先生が考えた新作物語を読める!」という、読者にとって一番嬉しいことをずっと叶えてくださったひとつの方法であったなと思います。
手塚治虫先生も、晩年は丸が綺麗に描けなくなってきたとこぼされていたこともあったとか。そしてアイデアはまだまだあって、病床においても『トイレのピエタ』といった新作漫画のアイデアを書いていたそうです。実際、未完作も多数ありましたし。
日本の漫画の場合、作家さん個人に依拠することが多く、作家さんがキャラクターを天に連れて行ってしまう残念な出来事も多いと思います。
何とかオープンなシェアワールドのような形として作品の作り方を後輩に共有し、ずっと作れるようにしてくださった作品も多いですけど(アニメ版ドラえもんゴルゴ13、アニメ版ルパン三世……とか)。
キャプテン翼』はやはり、作品のタイプ的に、高橋陽一先生のものだろうなあと思いますので。
で。キャプテン違いの『キャプテン』『プレイボール』は、コージィ城倉先生が続きを描いておられます。
最近は本当に絵が似てきていて、違和感がなくなってきました。
ストーリーも近藤と谷口の共演という夢のあるところを進めていて。
さあ、谷口カントク率いる都立墨谷高校は甲子園に行けるのでしょうか?
『キャプテン2』には賛否両論あるとは思いますが。私はアリだと思うんですよね。あの作品を残していくひとつの形として。これをきっかけに原作に触れている世代を超えたファンも多いと思いますし。
話がとっちらかってきましたが。
高橋陽一先生のペンによる『キャプテン翼』はもうすぐ終わってしまうのは残念ですが(雑誌のvol.19の段階でまだ五輪準決勝、スペイン戦、後半15分。いうまでもなく、サッカーの後半は45分ありますから、次号3話やっても試合途中になりそうですが…)。
ひとまずvol.20とコミックス最終巻を見届けたいと思います。
ともかくも。日本のサッカー人気の立役者の1人は、間違いなく大空翼くんです。
そして、日本のサッカーを漫画で盛り立てようというスピリットは、『ブルーロック』をはじめとする様々な後進作に引き継がれていると思います。
本当に独特の文化ですね。
ちなみに、前から気になってはいたもののなかなか買う気にならなかった『キャプテン翼マガジン』。
大判で非常に印刷が綺麗なので、買って損はありませんでした。
スマホで漫画を読むようになって久しいですが、紙の雑誌で読むのはやはり漫画の原点。もっと前から買っておけばよかったな。迫力が違いますね。