かの聖闘士星矢が海外プロデュースで蘇っていた

GW前まで知らなかったのですが、配信で聖闘士星矢が3DCG作品として星矢の登場から黄金十二宮編までアニメ化されていました。制作スタジオこそ東映アニメーションさんですが、プロデュースはどうやら海外資本、Netflixさんのようです。日本へは逆輸入のような形になっています。
この作品、GW中は体調不良で出掛けられなかったので最初から一気に見ていましたけど。
いくつかあった独自の設定もなかなかこれはこれでありでした。例えば聖衣がたたまれてパンドラボックスに入る以外に、小さなチップにまとまる機能があるというのは現代的で合理的なアイデアですし、CGとはいえ作画の手間も段違いでしょう。それに、沙織さんのお爺様のご友人が人工的な聖闘士を育ててクーデターを画策するのも洋画的で面白かったですね。ヘリやミサイルと聖闘士が闘うとか、マンホールのフタがいいキャラクターしているとか、海外プロデュース版の現代星矢であるならアリでした。これが2Dのセル風作画であれば違和感あったと思うんですが、3Dなので別の作品として楽しめます。原作をリスペクトしながらも、2020年代の星矢として、エンターテイメントとして描くのであればこの方向は正しいかなと。
星矢って、当初は反発していた沙織さんと星矢たちがお互いの熱さと正義感により惹かれ合い、アテナとその聖闘士としてド根性と友情と小宇宙の燃焼により下剋上していく話……という軸があると思います。そこへさまざまな人物や聖域の思惑、野望、宿願が絡み合っていく話かなと。今回のバージョンもそのあたりやキャラクターの主軸・根幹が非常に大事にされているという印象を受けましたので、多少のアレンジでは揺るがなかったなと。
アレンジ、たとえば発表当初は物議を醸したらしい、アンドロメダ星座の瞬の性別変更。
これ、初見だけは違和感ありましたけど、瞬の本質的な、人間的な優しさと強さっていうキャラクターは性別を超越したものがありますから、話が進むとほとんど気にならなかったです。
一輝との兄と弟の関係も熱かったですが、兄と妹にするのもアリだなと。
むしろ、後半でカメレオン星座のジュネさんとの絡みが増えますので、百合っぽくなって、これはこれで逆に熱いものがありました。
それから、魔鈴さんだけ仮面を付ける演出になっている件。原作では女性の聖闘士は仮面を付けなくてはいけないという掟があるのですが、この辺をグチャグチャやってしまうと今の時代に合いませんし、海外ではウケなかったかも。性差別的というか。ここをバッサリと整理して話のテンポをよくしてさらに魔鈴さんのキャラ付けに繋げる。なるほどなあと。シャイナさんの独自のメイクも悪役の女性プロレスラーみたいでカッコよかった。カシオスの忠義ある最期も良かったです。
原作を知っているなら、これはこれで別物、として割り切って見れば本当に見所は多いです。聖衣や背景の質感、アクションの凄さ、すっきりまとめ直されて分かりやすくなったシナリオ、時々入るアメリカンジョーク、声優さんの演技力……。良いところが多いのですが、原作原理主義になるとこういうのが逆に違和感になって楽しめないかもしれませんね。
今シリーズでは特に、話のテンポの良さが素晴らしい。毎回23分なのに、40分とか60分位見たような気になるくらい。前後半の間にタイトルロゴが入るのですが、え、これまだ前半? って毎回思ってましたから。画面が緻密で情報量が豊富だから余計にそうなるのかもしれません。
今週の配信回で、いよいよ教皇の間に星矢が到着しました。苦難の多かったこの闘いもいよいよ大詰めです。いったい、偽教皇こと双子星座のサガの身にあったこととは…? そしてアテナこと、沙織さんの命は助かるのでしょうか? 地上の平和はどうなるのでしょうか。
もちろん、オチを原作では知っているのですが、それでも楽しみになっています。
ただ、この作風では海王ポセイドン編以降は要らないかな……あるかどうか知らないのですが。多分、ここで終わったほうが名作になると思います。
小宇宙を燃やして駆け抜けろ! 頑張れ、星矢!