大学教育とWeb 2.0、の、現状。

私は仕事含めて日常的に、IT関連の質問を受けることがおそらく普通の人より多いと思います。残念ながら、「絶対サポセン黙示録」*1さんに投稿できるネタは無く、いたって「ごく普通の質問」ばかりなのがちょっと悲しいですが。誰か変なこと訊きにこないかな? と内心ではちょびっと思いつつ、それなりに丁寧にお答えしています。「せっかく訊いてくれたんだから、絶対損はさせない」がモットーです。


しかし、「ごく普通の難問」というのは存在します。はてなダイアリーで「web 2.0」という概念を知って以来、きれいにマークアップされたHTMLを書き、レイアウトはCSSに原則的に全てを貼り込む、よく使うデータはローカルではなくオンラインに置く、などという考え方が自分の中ではデフォルトになったのですが、Webデザインの質問を受ける度に、この流れをどう教えたら誤解が無いんだろう? というのはむちゃくちゃ悩みます。


現に昨日も、文化祭の宣伝ページを書くためのご相談が。持ってきてくれたHTMLを見てみたら、Tableばりばりのレイアウトになっていて。創った人はHTML内にコンテンツもデザインも両方ぶち込む感じの授業を受けていたようです。


学生さんがWebページを創っている所を見せてもらうと、やっぱりレイアウトに関して、htmlとCSSの切り分けはできていない。(デザインそのものはかっこいい、機能的である、とそれぞれに感心するのですが)つまり、授業であまりやっていないみたいです。この概念。


最初は取っ付きにくいけど、CSSレイアウトはメンテナンスがしやすく、htmlによけいなことを書かないから検索への適性も高い。htmlの容量も小さくてすみます。ただ、HTMLレイアウトに比べて「デザインを別のファイルから指定する」という回りくどさは直感的に理解しにくいので、導入には適切な解説をしないといけないのです。


先生方の本来の専門外ながらも、授業でwebサイトの作り方もある程度教えなくてはいけない場面っていうのは、色々あるだろうと想像が付きます。つまり、教える側がweb1.0なんだろうなあ。教育の導入部分ではともかくとして、その概念のままデザインしたものを就職活動などでも使っている人もいるのではないかと思います。学生さんを新技術に出会わせてあげるのは教える側の仕事だと思うのですが、まだまだ教える側に普及していないかもしれません。むしろ熱心な学生さんの方が何故か知っていたりもしますね。このギャップはある意味でのデジタルデバイドです。Webに関しては教授より学生の方が詳しいことがままあります。


これからのWebデザイナーWeb 2.0の知識やCSSが使えないとやっていけない場面が多々出てくると思うので、Webに関して相談された限りはこの流れ全般について概説するようにしていますが、多くの授業でやっていないことだけに、説明の最初が難しいです。毎回気を遣います。学校で15時間以上の授業でやったことを1時間で新しいことに切り替えさせる……。しかも、いつ相談に来られるか分からない。(授業と違って、私の場合はいつも突発な訳で)毎回、顔は笑顔、脳内は汗です。


ともかく、大学の先生方こそ、Web 2.0に詳しくなってほしいと思っています。
それに、これからは小中学校、高等学校でどんどんIT教育を受けた学生さんが入ってくるので、教える側はそれ以上に詳しくなる必要もあるのですが、これから数年先、このあたりの格差(教授と学生)が問題になるかもしれません。ちょっと心配、ではあります。ブログやケータイを手足のように使いこなしてる世代と、そういう使い方はしていない世代とでは、情報に対する感覚そのものが違うのではないか? 杞憂だといいんですが。

*1:ITサポートセンターへの珍質問を中心に、日常で起きたちょっと変わった出来事を集めた投稿サイト。結構有名。ここのログを全て読むと数日は軽くつぶれそうな気がします。