世界はひろいなおおきいな@民族楽器本

世界はひろいな、というのを何で感じる人が多いのかな?
ニュースとかでしょうかねえ?


私は趣味柄、民族楽器で感じたりします。この本なんか、一番いい例なんじゃないかな。

イオンおじさんの笛

イオンおじさんの笛

世界の民族を楽器に着目して旅して廻っている西岡信雄さんの著書の一つです。
民族楽器本と言ってもいろいろで、専門書っぽいのから旅行記のようなものまでいろいろですが、この本は比較的旅行記系かな。(時系列に書いてあるわけではないですが)内容の濃さの割には読みやすくて。文章が生き生きしているのがいいんですよね。
(ちなみに、大学時代に浜松市楽器博物館学芸員実習を受けさせていただいた時の教科書の一つでした)


最初の方で紹介されているパプア・ニューギニアの楽器が特に印象的なのですが。
「ムンガル」という立派な名前がついていますが、用意するものは太くて長い竹を9本、それから一足のゴム草履。これだけ。
演奏方法は竹の口をゴム草履で叩くだけなのですが、ちょっと面白い工夫をして使うのですね。ある程度太くてしっかりした竹であれば、口を叩くだけで音程を持った音が出るんですよね。

9本の竹は3本ずつに分けます。それぞれ一組ずつで、「ド・ミ・ソ」「ファ・ラ・ド」「ソ・シ・レ」といった基本三和音がするように長さを調整。そして、3本ずつ上に乗せて組みます。たとえばこんな感じになるそうです。(本文P.17の図より引用)
[C][E][G]
[G][B][D]
[D][F#][A]
基本三和音さえ鳴れば、どんな曲でも伴奏できるもんなのは確かです。この楽器、私は音を聞いたことはないのですが、なんとなく想像が付くような……。(バリガムランのジュゴックとかに近いのかも?)


それにしても、マレットがゴム草履。
竹を切っただけで組み合わせて使う。
楽器といえば楽器屋さんで売っているもの、という概念はこの地域では通じないのかも。
世界は広いです。


しくみがシンプルなだけに、叩き方次第で音がガラッと変わりそうです。奥が深そう。
なんでも、現地では合奏団等もあるそうで、こういった竹楽器が集団で鳴るんでしょうね。これは迫力がありそうです。