レディース・ディ。つまり、水曜日は映画鑑賞が安いのです。
ダンディー・ディも作ればいいのにね。
さて、そんなわけで『逆転裁判』の映画版を見て参りました。
ゲームではさんざん楽しませていただいて、すっかりおなじみのあの世界。映画となるといろいろ勝手が違うんだろうなあ……と思っていましたが、いろいろどころではなく。おなじみでありながら全く違う世界。生の人間がやるとちがうわ。
ナルホド君の活躍は、ヤハリ君を救うあのとんちんかんな事件から始まります。やっぱり。
ゲームの方では新聞配達員がやっちゃったあの事件。詳細はカットされるので、ゲームをプレイしていないヒトには詳細は分かりませんでしょう、たぶん。でも、事件の影にやっぱりヤハリ、のせりふこそ出てこないものの、それなりにいろいろやらかしちゃった様子で、いろいろやらかしちゃうキャラクターと、なるほどう弁護士が友人でもあるというのはわかるかな。飛んでくるカツラもしっかり再現。
それから綾里弁護士の事件やら、ヒョッシー事件やら、基本的なシナリオはゲーム1作目と同じような流れで進んでいきます。
なんで霊媒師が関わっているのかとか、序審法廷システムとか、そういう世界観そのものについてはゲームをやってみないと納得できないところではあるかも...。その点、ゲーマー以外の方の感想を聞きたいところ。わけが分からないとか言われそうだし、そうでもないかもしれないし。あの青い怪物はなんなんだとか(笑)。タイホくん、中の人はいなかった……。
コスプレ映画といえば言えなくもないんですが、ゲームの中の人物がいつもの「PoPoPoPo........」ではなく(笑)、ちゃんと生きてしゃべって動いているというのはすごいものでした。
ゲームの中での証拠提示を、立体映像で見せるというのは新しいところです。
裁判員制度が普及した今、現実の裁判でもプレゼンテーションが重視されつつあるでしょう。未来にはああいう形になるのかな。
その場で提示された証拠をすぐに解析するシステムが備えられている法廷っていうのはすごいと思いました。この世界は鑑識が自動化されていてもおかしくないなあ。
音楽は良かったし、オーケストラサウンドで原作の名曲が聴けちゃうことに加え、映画ならではのサウンドもたくさんありましたので、サントラを買ってきました。
裁判は証拠がすべて、とはいうものの、犯罪は心理から起こるもの。映画オリジナル楽曲では、心理描写に刺さってくる音楽が多かった気がします。
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演技の中で印象的だったのは、決死の証言台であの『さゆりさん』から証言を引き出すナルホドくん……だけではありません。もっとすごかったのは、あの前代未聞の証人から証言を得てしまったことで、ついに覚悟を決めたハイネコータロー氏の豹変。
もう、人生でやるべきことは終わった……という覚悟と悲壮感がグワッと伝わってきました。
豹変といえば、最後の最後、カルマ弁護士のどうしてそこまでして40年間無敗で……つまり、常に被告人を有罪とするという立場で居たかったのかを語る恐ろしいシーン。
それまでの誇り高い検事像が壊れて、かつ、壊れた人間が壊れたなりに正義を語る。
カットワークで演技が飛ばされている演出で、いかに壊れているかが分かって。それなりにカルマの正義はあって。
でもそれはやっぱり偽りの正義でしょう。状況や証拠からして犯罪者としか思えない人間が、なんだかんだで罪を認めようとしないことが多いからって、すべての被告人が犯罪者その人ではない。当たり前のことです。
ゲームをやっていたから非常に楽しませていただきました。背景の小道具の演出などで思わず笑ってしまうものも多かったですし。
ただ、ゲームをやっていないと分からないか、というと……どうでしょうね。
たぶん、話の流れとかは分かると思う。
ただ、理解とか共感とかは……?
スリリングな法廷劇だけを期待していくと、いい意味でも悪い意味でも裏切られると思います。
映像の迫力は素晴らしいものがありました。
逆転裁判ファンなら必見。